~不思議さいえんす・高校生物講座~ 【細胞の構造とそのはたらき(1)】
□細胞説の現在
・細胞説 … 「細胞は生物体の構造とはたらきの基本単位である」という説。
★「生物体の基本単位は細胞である」という細胞説は、
研究の進展に伴って、
・細胞は人工的に培養し、増殖できるが、細胞の一部分だけを培養
することはできない。
・植物では、1個の培養細胞から完全な植物体をつくることができる。
という事実が明らかにされ、
提唱された当時の「生物体の構造の基本単位は細胞である」というもの
から、「細胞は構造上だけでなくはたらきの点でも生物体の基本単位」と
いうものへとその意味が進展していった。
なお、「生きている」とは、
① 単独で自己複製(自分と同じ子が作れる)ができる事
② 代謝(体の中で物質を合成したり分解したりする)ができる事
が最低条件であり、細胞はその条件を満たしている。
そして、代謝を促進する生体触媒である酵素が、細胞内には存在している。
□細胞の種類と生物
① 細胞の種類
細胞は、核のつくりの違いで、次の2つに分けられる。
┌原核細胞 … 核膜に包まれた明瞭な核を持たない細胞
└真核細胞 … 核膜に包まれた明瞭な核を持つ細胞
また、真核細胞には、ミトコンドリアや葉緑体などのように生体膜に囲まれた
細胞小器官があるが、原核細胞にはない。
(ただし、生体膜に囲まれていないリボソームのような細胞小器官は、原核
生物にも存在する)
② 原核生物 … 原核細胞からなる生物
原核生物は次の2種類しかない!
細菌類(例:乳酸菌・大腸菌など),ラン藻類(例:ユレモ・ネンジュモ
など)
③ 真核生物 … 真核細胞からなる生物
細菌類,ラン藻類以外の生物は、すべて真核生物である。
酵母菌は、細菌類ではなく菌類なので、真核生物である。【←要注意!】
□(真核)細胞の構造
真核細胞は細胞膜によって包まれ、内部には核とそれを取り囲む細胞質とが
ある。細胞質とは、Bの原形質で①以外のものをいう。
原形質とは、細胞内において、生命活動を営んでいる部分のことで、一定の
働きを持つ構造体である細胞小器官(Bのうち、②以外のもの)と細胞小器官
どうしの間を満たす液体成分である細胞質基質とに分けられる。
なお、細胞膜も、原形質として、細胞質に含めることがある。
┌─A.細胞膜 …【構造】 リン脂質の2重層にタンパク質が埋まっている。
│ このような構造の膜を、一般に生体膜という。
│ 【働き】 ・細胞質を包み、細胞の形を保つ。
│ ・物質の出入りの調節(半透性・選択透過性)
│ ・刺激の受容,情報の伝達
│
│ ┌─①核 … 遺伝子合成の場
細胞─┼─B.原形質 ─―┤
│ ├─②細胞質基質 … 嫌気呼吸の場
│ │
│ ├─③ミトコンドリア … 好気呼吸の場
│ │
│ ├─④ゴルジ体 … 細胞内で合成された物質の分泌
│ │
│ ├─⑤中心体 … 紡錘体やべん毛の形成に関与
│ │ (主に動物細胞)
│ │
│ ├─⑥葉緑体(植物細胞のみ) … 光合成の場
│ │
│ └─⑦電子顕微鏡でしか観察できないもの
│ (小胞体,リボソーム,リソソーム)
│
│ ┌─①液胞 … 老廃物の貯蔵の場
│ │ (成熟した植物細胞で大きく発達)
└─C.後形質───────┤
(原形質の生命活動に └─②細胞壁(植物細胞のみ,全透性)
よって作られた部分)
※ 核は、1枚の生体膜が折り返された二重膜である核膜,核液,核小体(仁),
細胞分裂の際に太くなって染色体となる染色糸から構成される。
※ ミトコンドリアと葉緑体は、内外異質な二重膜をもつ。
ミトコンドリアや葉緑体は、好気性細菌や藍藻を細胞外から取り込んで
できたものだから、取り込まれた生物と取り込んだ生物の膜が別々に
存在して二重膜になっている。(マーグリスの共生説)
※ 電子顕微鏡でしか観察できない細胞小器官についての概略
・ 小胞体 … 細胞内での物質の輸送路
・ リボソーム … タンパク質合成を行う
・ リソソーム … 細胞内消化を行う
※ 液胞は、正確には、液胞膜が原形質に属し、液胞膜内の液体である細胞液
が後形質に属する。